- 11月
- 2024年12月
4月末に始めて約2ヶ月。ようやく在庫限りでの販売になり、私たちの原価マスクプロジェクトも終息を迎えていくことになります。その中で、いろいろとこれまでにない体験だったり、知ったことなどがありました。また、この原価マスクプロジェクトが当社に与えた影響というものも軽く振り返ってみたいと思います。
受注・出荷業務の増加
私たちの本業のビジネスである「デジタルライフを豊かにする」ための製品は多くが店頭を通じて販売されています。オンラインによる販売も多くがAmazonや取引先のオンラインストアでの販売となり、私たちのオンラインストアであまり多くの量を販売していませんでした。
原価マスクプロジェクトにより、何千件の出荷をするようになり、受注・出荷担当がヒーヒー言う状況になりました。オンラインストアのシステムも大量の注文に対応できるような仕組みではなかったので、大手のオンラインストアでは簡単にできるであろうことができずに苦労しました。結果として、お客さんにも不便をかけてしまったところが多かったかと思います。
ただ、これをきっかけとして、この2ヶ月でシステムに改良を加えかなり使い勝手も良くなっていきましたので、これは今後にも活かせると思います。毎日、何千件の受注や出荷が日常になると信じて。
キャンセル・数量変更・住所変更の依頼が膨大
キャンセルはできないという案内はしていたものの、当初よりも入荷が遅れてしまったり、初期の頃は明確な出荷日をお伝えせずに順次出荷ということになってしまっていたため、キャンセル依頼については来てしまった場合には対応していました。それでも、かなりの量が来ることに驚きました。
数量変更もとても多く依頼がありました。数量変更は、すでにクレジットカード決済が終わっているので、私たちで勝手に決済金額を変えることができないため、一度キャンセルしてから再度購入してもらう必要があります。しかし、元々は再購入できない仕組みなので、一件一件の対応が非常に大変でした。
住所変更は単に間違えて入力してしまった方が多かったようで、おそらくですがオンラインストアでの購入にあまり慣れていない方が多かったせいなのかもしれません。
ちなみに、Amazon Payで購入していただければ住所など入力する必要がなかったのですが、これはこれで元々申込をしたメールアドレスや電話番号と登録が異なっていたりして、キャンセルになってしまわないかというお問い合わせもたくさんいただきました。厳密には条件からずれますが、よっぽど悪質なケースでない限りキャンセルをしませんでした。私が知る限り、応募条件の違反によるキャンセルは一件もありません。
サポート対応の増加
上記でも代表的な例を書きましたが、「基本的には個別のお問い合わせを受けていません」と案内していても、どうしてもたくさんのお問い合わせを受けました。できる限り、FAQを充実させていくことやFacebookやTwitterによる発信でカバーしていこうと考えていたものの、どうしても情報量が多いために同じようなご質問をたくさんいただきました。
これは難しいところですが、製品ページは情報過多になり読みにくくなり、私もブログ記事などをいろいろ書きましたが、それはそれで情報を増やしてしまうため、読まない人はまったく読まずに問合せをしてしまうということになります。こちらについては、なかなか良い対策はないのかもしれません。
通常製品と原価マスクについては社内のサポート担当が対応しているため、かなりの業務量となってしまいました。利益を取らないモデルとしての原価マスクでは大きなコストとして発生してしまいました。また、このしわ寄せにより通常製品への対応が遅れてしまうこともありましたので大きな反省点です。
持続化給付金対象外
これは結構悲しい出来事でした。コロナ禍の中、政府の施策として中小企業向けの持続化給付金というのがあります。私たちの本業においてもスマートフォンが売れなくなり、お店が自粛で一時閉店になるなどして、私たちの製品の売り上げも激減しました。しかし、私たちは5月6月と原価マスクの売上が立ってしまったので、ここから利益は得ないものの、売上金額が下がっているという条件を満たさなくなってしまいました。
2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(以下「対象月」という。)が存在すること。
持続化給付金 – よくある質問 – 給付金の対象者について
余談ですが、この売上だけを判断基準にするのはあんまり良くないと思います。企業の存続は売上ではなく利益、結果としての現金です。私たちのように売上は50%減していなくても利益はない場合もありますし、たとえば利益率が20%であれば、40%売上が減ってしまえば実質マイナスになります。中小企業向け施策のほとんどが製造業を想定しているような節があり、流通業などはもっと利益率が低いので、少しの売上減でも自足していけなくなることがあります。
大量のキャッシュアウトと売れ残りリスク
原価マスクは以前にコストについて書いた通り、支出があって、みなさんに販売して、結果として収入になります。ここに間接費などの利益を計上していません。それについては、別途長々と記事を書いていますので、ご覧ください。
ポイントとしては、マスクを工場に発注した段階でデポジットといって前渡し金を支払い、生産をしてから出荷時に残金を支払います。つまり、原価レベルの支払いは4月末から発生しているのです。
そして、みなさまに購入していただいて出荷したときに、クレジットカードの売上と引落操作を実行します。そこから入金まで早くても1週間、長いものだと1ヶ月程度かかります。購入いただいているみなさまは数千円の支出となりますが、私たちは工場に対して合計600万枚程度の発注を行なっています。上記の記事でも案内していますが、1枚あたりのコストは約29.38円となりますから単純計算176,280,000円、つまり1億7千万円もの支払いを先に済ませているということです。
キャッシュフローから考えると、中小企業にとっては恐ろしい痛手なのはご理解いただけますでしょうか。コロナ禍の状況で売上自体は減っているのに、このリスクを背負って進めたことなのは知っておいていただきたいです。最後に売れ残りなどが出てしまったら、とても困るということも。
キャリアメール対応
キャリアメールを使っている方が、思っている以上に多かったのが今回分かりました。フィッシング詐欺疑いが多くあったために、当初は記号の羅列となるアドレスの表記を避けてHTML形式でクリックするだけにしたメールを送信しましたが、かなりの方が受信できない、もしくは受信しても文字化けしてしまうということがありました。
それ以外にも、メールをお送りしていても届かないというケースの大半がキャリアメールの方でした。これはかなり予想外の結果で、今後もこのようなことがあるときのキャリアメール対応というのはドメインで分けてメールの形式を変更するなど、何かしら考えておかないといけないと思いました。
サポートするはずが、サポートしていただく
案内など至らない部分も多く、ご心配をお掛けしたり、ご批判をいただいたりしました。ただ、逆にたくさんの温かいお言葉をいただき、そこで誰かを助けることができたと実感することができました。Twitterでも多くコメントをいただきましたし、個別にメールなどでいただいたり、なんと手紙や封書をいただいたこともありました。
いくつか書いたような苦労を社員にはさせてしまいましたが、私としてはこのプロジェクトをやった意義はあったと思っています。社員もそのことを分かってくれていると信じています。そろそろ終わりになるプロジェクトですが、最後までしっかりとやりきりたいと思います。
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なお、以前の記事で書いた総括はまた別の記事にまとめています。かなりの大作となりますので、もう少しお時間をいただければと思います。
最後にもうひとつ。
新座市にマスクを寄付したのに、写真も金額も間違えられた件
新座市に寄付したのは地元愛からであって、それによって何かをもらいたいということではありませんでした。寄付をした時に市長の受取とか写真撮影とかしますか、と言われても断わったくらいです。新座市に全戸配布されている(はず?)の広報にいざに情報が掲載されているという話があったときには気にも留めていませんでした。しかし、なんと数量間違いによる寄付額の間違い(本当は60万円相当)と写真も間違っているということでした。
まぁ、元々掲載してもらわなくても問題なかったのですが、間違えられると困ってしまいますね。とはいえ、新座愛がある私は怒ってクレームを付けたりすることはありませんのでご安心ください。
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このブログを書いたスタッフ
プレジデント
ほっしぃ
音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。
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